2025/12/18 17:41


<制作のきっかけ>
自転車で列になって走っているとき、
前方に水たまりが見えてくると、
「きっと前の人は避けるだろうな」と無意識に予想します。

ところがごくたまに、
水たまりがそこに存在しないかのように、
何のためらいもなく
まっすぐ突っ込んでいく人がいます。
私はそのうしろで、
な、なに!? という驚きと、
些末なことには己の道を左右されない姿に、
いくばくかの尊敬の念を抱きます。
慌てるでもなく、構えるでもなく、
ただ当然のこととして突き進んでいく姿が
かっこいいと思い、制作しました。
<こだわり>
・水しぶき
水たまりに入ったときの水しぶきは、
あえて少し大袈裟に描いています。
水の表現を考える中で、
葛飾北斎の《富嶽三十六景》に描かれた
大胆でリズムのある波の表現を参考にしました。
現実そのままではなく、
「水しぶきといえばこんな感じ」という
記号的な誇張を入れることで、
この人の迷いのなさを表現しています。

<裏ばなし>
当初は、
水たまりを気にしない余裕さを出したくて、
うっすら笑みを浮かべた表情にしていました。
ですが第三者から
「自転車を漕いでいるときに笑顔の人はいない。
本当に気にしていないなら、無の表情の方が自然」
とアドバイスをもらい、
表情を描き直しました。

(左:修正前、右:修正後)
たしかに笑顔だと、
「水たまりに突っ込むのが好きな人」
というニュアンスが強くなってしまうかもしれません。
今は、感情を出さない無の表情のほうが
「水たまりを気にしない」という言葉に
合っていると感じています。

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